草彅剛さんが15年ぶりに時代劇の主演を務める「碁盤斬り」が5月17日に公開されました。
監督は、「孤狼の血」シリーズなどで知られる白石和彌監督が務めており、迫力あるエンターテインメント作品に仕上がっていました。
この記事では、映画本編の展開を整理した上で、注目すべきシーンやラストの考察をまとめたので、ぜひご覧ください!
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この記事には映画の結末や重要なネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。
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公開日 | 2024年5月17日 |
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監督 | 白石和彌 |
原作 | 古典落語『柳田格之進』 |
脚本 | 加藤正人 |
キャスト | 柳田格之進:草彅剛 お絹:清原果耶 弥吉:中川大志 萬屋源兵衛:國村隼 柴田兵庫:斎藤工 |
音楽 | 阿部海太郎 |
上映時間 | 129分 |
配給 | キノフィルムズ |
公式サイト | 「碁盤斬り」公式サイト |
上映劇場 | 「碁盤斬り」上映劇場 |
【碁盤斬り】映画のキャストで注目すべきは…!
独立以降、ますます俳優としての評価が上がっている草彅剛さんはじめ、豪華キャストが集結しました。
各キャストと、「碁盤斬り」における役どころの紹介をしています!
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柳田格之進/草彅剛
「碁盤斬り」の主演は、元SMAPで、2016年の独立以降さらに俳優としての評価を高めている草彅剛さんです。
SMAP在籍当時は、地上波ドラマを中心に「いい人」を演じる機会が多かったですが、独立以降は、配信ドラマや舞台など活躍の幅を広げています。
2020年に主演した「ミッドナイトスワン」では、トランスジェンダーの役を演じて日本アカデミー賞の最優秀主演男優賞を初受賞しました。
演技の評価がますます高まっています!
草彅剛さんが演じる柳田格之進というキャラクターは、濡れ衣を着せられた上に、妻を亡くして出藩した浪人です。
実直な性格ですが、武士ゆえの頑固さから、一度決めたことを曲げられない性格です。
貧しい生活を送っていましたが、濡れ衣を着せられた事件と妻が亡くなった真相を知り、復讐に燃えるのでした。
お絹/清原果耶
柳田格之進の娘・お絹を演じるのは、清原果耶さんです。
22歳にして映画やドラマの主演を数多く務めており、今最も注目すべき若手女優と言われています。
2021年には、「護られなかった者たちへ」で日本アカデミー賞の最優秀助演女優賞を受賞しました。
コメディもシリアスな演技もできる幅の広さが魅力です!
お絹は、貧しい生活を強いられながらも文句を言わず慎ましく生きていている、たくましい女性です。
滞納している家賃の支払いを遅らせてもらうために、一芝居打つ強かな一面もあります。
武士の娘ということもあってか、濡れ衣を着せられた格之進に代わって、遊郭の女将・お庚(小泉今日子)を説得するという実直さも持っています。
弥吉/中川大志
お絹と恋仲に発展していく弥吉を演じるのは、中川大志さんです。
小学4年生の頃に芸能界デビューを果たし、NHKの大河ドラマでは「江〜姫たちの戦国〜」をはじめ、4本に出演するなど実力が高く評価されています。
弥吉は、萬屋源兵衛(國村準)が営む質屋で働く心優しい青年です。
しかし、優しさゆえの優柔不断さが仇となり、格之進に誤解を与えてしまうのでした。
終盤の演技が滑稽だけど、素晴らしかったです!
萬屋源兵衛/國村隼
囲碁を通じて格之進と親交を深める萬屋源兵衛を、國村隼さんが演じました。
言わずと知れた大ベテラン俳優で、ヤクザ役から心優しい中年男性の役まで、幅広く演じ分けができる演技力の持ち主です。
韓国映画「哭声/コクソン」の演技が世界中で評価され、韓国の映画賞を席巻しました!
源兵衛は、狡猾な戦法で賭け碁を嗜んでいましたが、格之進の「囲碁は正々堂々と戦いたい」という言葉に感化され、身の振り方を改めていくという人物です。
仕事でも適切な価格で買い取りをするように改めたところ、商売が上手くいくようになり生活が好転しました。
しかし、抜けている一面もあり、番頭から渡された50両を失くしてしまったことが、格之進に誤解を与えてしまいます。
柴田兵庫/斎藤工
格之進の復讐相手となる柴田兵庫を演じるのは、斎藤工さんです。
俳優のみならず映画監督としても活躍し、自他ともに認める映画好きで、今でも1日1本は映画を鑑賞していると言います。
映画雑誌で連載をしていたこともあり、かなりの映画マニアです!
兵庫は、格之進と因縁が深い人物で、格之進が浪人として貧しい暮らしを強いられるきっかけに関わっています。
極悪非道かつずる賢いところがあり、自分が気に入らないことがあると周囲を巻き込んで悪評を触れ回る、質の悪い人物です。
【碁盤斬り】映画のあらすじ(ネタバレあり)
「碁盤斬り」のあらすじを起承転結に分けてご紹介します。
あらすじを整理しておくことで、ラストの格之進の行動が理解できるかもしれません。
起:貧しく暮らす柳田格之進
柳田格之進は妻を亡くし、江戸の長屋で娘のお絹と貧しくも慎ましい暮らしを送っています。
真面目で実直な格之進の人柄は、碁会の面々からも評判を呼んでいました。
しかし、強欲な大店の萬屋源兵衛から、賭碁で勝負することを誘われます。
実力は格之進の方が勝っていましたが、「汚い碁は打たない」という信条から、勝負を捨ててその場を後にしました。
源兵衛は、格之進の高潔な精神に心を打たれ、囲碁の教えを請い、親しくなっていくのでした。
源兵衛が改心するパート、個人的に結構好きです!
源兵衛は、持ち前の高価な碁盤で囲碁を打たないかと格之進を自宅に誘います。
しかし、源兵衛の自宅で、番頭から源兵衛に渡ったはずの50両が消えてしまう事件が起こります。
番頭は、源兵衛と2人きりで碁を打っていた格之進を疑います。
承:冤罪事件の行方
あらぬ疑いをかけられて憤慨する格之進でしたが、話を聞いたお絹が、遊郭に身売りすることで50両を工面すると言い出します。
遊郭で女将をするお庚は、お絹の父を想う心意気に胸を打たれ、お絹を大晦日まで客には出さないと約束し、格之進に50両を渡します。
格之進は、源兵衛の下で働く弥吉に受け取った50両を渡し、「50両が出てきたら、源兵衛と弥吉の首をとる」と約束を結ぶのでした。
格之進の行き過ぎた実直さゆえの狂気が伝わってきます…。
格之進とお絹が、貧しい暮らしを強いられているのは、藩主の掛け軸を盗んだという濡れ衣を着せられたことがきっかけでした。
しかし、彦根藩士の梶木左門が訪ねてきたことにより、掛け軸を盗んだのは、囲碁の勝負で格之進に逆恨みをしていた、同じ藩士の柴田兵庫だったと判明します。
さらに、兵庫の脅しにより、格之進の妻が自死に至ったと聞き、格之進は怒りに震えます。
行方をくらます兵庫に復讐を誓い、格之進は旅に出るのでした。
転:復讐の相手とついに対峙
歳月を経て格之進は、大金を賭ける紹介制の碁会に兵庫が参加している、という情報を仕入れます。
碁会を仕切る長兵衛に事情を説明し、碁会の参加を特別に許してもらいました。
ようやく兵庫と対峙した格之進は、囲碁で勝負をつけると宣告します。
お金をほとんど持っていない格之進は、お互いの首を賭けることで、勝負に挑みます。
白黒をはっきりつけるのが武士の世界…。
勝負は兵庫が優勢に進んでいましたが、敢えて油断させる「石の下」という格之進の作戦であることが分かります。
劣勢を感じた兵庫は、碁を打たないまま何時間もじっとしていましたが、水を飲むふりをして刀を取り出し、格之進に襲いかかりました。
激しい攻防の末に、格之進は兵庫の片腕を切り落とし、濡れ衣を着せたことを認めさせます。
そして、格之進は兵庫の首を斬り、積年の復讐を果たしたのでした。
結:50両の因縁はいかに
結局、格之進は50両も工面できない上に、大晦日のうちに遊郭にたどり着けず、明朝にお絹を訪ねます。
覚悟を決めていた格之進でしたが、お庚は約束などなかったかのように、お絹を格之進に受け渡しました。
まさしく、人情噺!
一方、年末の大掃除をしていた源兵衛は、失くしていた50両を見つけます。
弥吉は、格之進と結んだ「50両が見つかったら首をとる」という約束を源兵衛に伝えていなかったため、顔面蒼白で事情を説明します。
弥吉の泣きべその絶望感たるや…。
源兵衛と弥吉は、50両が見つかったことを伝えて謝罪をしますが、格之進は意に介さず刀を手に取ります。
必死にお互いを庇って命乞いをする源兵衛と弥吉でしたが、格之進は二人の首を斬らずに、源兵衛が大切にしていた碁盤を斬るのでした。
あらゆる騒動が落ち着いた格之進とお絹は、江戸を離れてひっそりと暮らすようになります。
そして、密かにお互いを想い合っていた、お絹と弥吉は結ばれて祝言をあげるのでした。
【碁盤斬り】映画のネタバレ&考察:原作は落語だった?
こちらでは、「碁盤斬り」が制作に至った過程や脚本家の情報と、ラストの考察についてまとめています。
ラストの構造は謎に包まれまれていますが、ひとつの解釈としてお楽しみください!
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【碁盤斬り】映画の原作は古典落語「柳田格之進」
映画「碁盤斬り」は、古典落語である「柳田格之進」を原作として映画化されました。
「柳田格之進」は、「柳田の堪忍袋」、「碁盤割り」という別名でも知られており、「碁盤斬り」のタイトルは、別名から踏襲されたもののようです。
話の大筋は、源兵衛の館から50両を盗んだと濡れ衣を着せられた格之進が、50両を工面すると豪語するも何も策はなく、あたふたして、結局、源兵衛の館から50両が出てきてしまうというものです。
身分の違いから、番頭が首切りを安請け合いするところが笑いどころです!
「碁盤斬り」には、50両にまつわるエピソードに加えて、格之進の復讐にまつわる展開が追加されました。
自分を貧しい浪人に陥れた兵庫に復讐を果たすという展開によって、エンターテイメント映画としてさらなる盛り上がりが生まれたと思います。
ただ、濡れ衣を着せられたというエピソードが2つ続くのは若干テンポが悪い気も…。
また、格之進と囲碁を対局したことで源兵衛が改心したり、お絹の恋仲として登場する弥吉の存在が追加されたりと、人情噺の要素も強くなりました。
原作の「柳田格之進」を踏襲している箇所は多いものの、映画用にオリジナル要素も追加されていて、原作を知らなくても全く問題ない構成になっていると感じました。
江戸時代の言い回りが忠実に再現されているので、雰囲気で理解しているところもあるかも…。
【碁盤斬り】映画の脚本は加藤正人
「碁盤斬り」は、大の囲碁好きである脚本家の加藤正人さんが持ち込んだ企画として始動しました。
加藤正人さんは、「ゲレンデがとけるほど恋したい。」や「クライマーズハイ」などを手掛けたベテラン脚本家です。
「柳田格之進」は古風な話ながら、大事な人のために自分を犠牲にしても構わないという、高潔な精神をまとった登場人物たちが登場するところに感銘を受けたと言います。
「碁盤斬り」は、3年半もの月日をかけて脚本を執筆したようで、加藤正人さん自身も、「自分の代表作になる」と手応えを感じていました。
若き日の格之進のエピソードが深堀された小説版も発行されました!
また、白石和彌とは2度目のタッグとなります。
前作は香取慎吾さんを主演に迎えた「凪待ち」で、2作続けて「新しい地図」のメンバーが主演を務めることになりました。
次作では、稲垣吾郎さん主演の物語もあり得る!?
藩を追われ、貧乏長屋で暮らす柳田格之進…
【碁盤斬り】映画のラストで格之進が江戸を去った理由は?
基本的には、単純明快な娯楽作である「碁盤斬り」ですが、ラストの格之進の行動には疑問を抱く方が多いそうです。
兵庫に復讐を果たし、50両の1件も片付き、お絹と弥吉が結婚して一件落着といった結末ですが、格之進はおもむろに姿を消してしまいます。
濡れ衣を着せられたことについての誤解も晴れて、なぜそんな行動をとったのかには謎が残ります。
確かに、なぜかいなくなりそうな予感は漂っていた…。
個人的には、自分のせいで遊郭にまで出向いたお絹のことを想い、気を遣い立ち去ってしまったのかなと感じました。
何らかの説明があっても良さそうなものですが、物言わぬが美徳とされる時代、ましてや不器用な格之進ですから、整理がつかない想いを行動で示したというところでしょうか。
自分が近くにいることで娘夫婦が厄介ごとに巻き込まれるかもしれない、という親心があったのかもしれません。
格之進は武士ゆえに、極端な行動をとりがちだと感じました。
解釈の余地が開かれたラストということで、続編を期待する方もいるかもしれませんが、個人的には1本で綺麗に完結している作品だと思いました。
原作が古典落語というミニマムなスケールからのストーリーなので、これ以上風呂敷を広げることは得策ではないでしょう。
小説版の格之進の若い頃を描いた前日譚か、別の古典落語を題材に映画化するという企画はあり得るかもしれません。
【碁盤斬り】印象に残ったシーン・場面3選(ネタバレあり)
「碁盤斬り」の中でも、特に印象に残ったシーンをピックアップしました!
人情、復讐、バイオレス、様々な要素が飛び交う王道時代劇の魅力を紹介します!
①源兵衛と格之進の穏やかな友情
質屋で働く源兵衛は、市場より高値で骨董品を買い取り、売り捌く商売をしていました。
さらに、囲碁好きである源兵衛は、日がな碁会に入り浸っては、賭け碁に勤しんでいます。
しかし、格之進の囲碁に対しての実直な美学に心を惹かれてしまいます。
実力としては格之進の方が遥かに上ですが、狡猾な囲碁をする自分に対して、格之進は汚い碁は打ちたくないと碁盤から立ち去っていくのでした。
武士らしい実直さというか頑なさ。
以来二人は、時間があるときには、囲碁を打ち親交を深めていきます。
中盤以降、ハードな展開に家事を切る「碁盤斬り」としては、貴重な温かいシーンでした。
國村隼さんの演技力もあって穏やかだけど、見応えあり!
②ついに本懐を果たす!格之進VS兵庫
掛け軸を盗んだという濡れ衣を着せられた格之進は、真犯人が兵庫であることを知り、復讐を固く誓います。
そして、物語の中盤からは、しばらく兵庫を探す旅が続いていきます。
格之進の髭が伸びて、風貌がかなり変わります。
旅の果てに見つけた碁会で、格之進は満を持して兵庫を見つけます。
紹介制の碁会で刀を振るのはよくないと判断したのか、格之進は兵庫に囲碁で勝負を挑みます。
囲碁の勝ち負けによって、お互いの首をかける勝負に出たのです。
極端な武士の世界!思わず兵庫も、自分に何の得があると突っ込みます。
一進一退の攻防が続きますが、格之進が決め手になりそうな手を打つと、兵庫はしばらく微動だにしません。
打つ手がないと判断したのか、兵庫は囲碁を辞めて急に立ち上がり、刀を振り回します。
結局、格之進も剣をとり、兵庫の首をとって仇討ちに成功しました。
孤狼の血のように、兵庫の首が真っ二つになります。
格之進の武士道による極端さや、不器用な実直さ、狂気が宿った印象的なシーンでした。
③あの日の約束がこんな形で…名台詞ここにあり!
源兵衛が格之進を招いた宴で、番頭から渡された50両を紛失していまい、格之進が濡れ衣を着せられるという展開が中盤にあります。
疑われた格之進は、物凄い剣幕で「50両が出てきたら、弥吉と源兵衛の首をとる」と約束するのでした。
しかし、年末の大掃除のときに、源兵衛の館から50両がうっかり出てきてしまいました。
格之進との約束を源兵衛に話していなかった弥吉は顔面蒼白になります。
このときの中川大志さんの情けない顔が最高です!
格之進を館に呼び、事情を説明して謝罪する2人でしたが、聞く耳を持たず、格之進は刀を取り出します。
心のどこかでさすがに許してもらえるだろうという油断があったのか、怒り心頭の格之進を見て、唖然とする源兵衛と弥吉の表情がとても味わい深かったです。
武士に二言はないと言えども、格之進の実直さが狂気じみている…(笑)
そして、予告編でも使われていたセリフが登場します。
「あの日の約束を忘れてはおらんな。忘れてはおらんな!!」
まさか、このシチュエーションで!?と驚きました(笑)
命乞いをしながらお互いを庇う源兵衛と弥吉の人の良さと、格之進の狂気じみた実直さが正面からぶつかったゆえの、ユーモラスなシーンでした。
【碁盤斬り】映画を実際に鑑賞した感想と評価(ネタバレあり)
ストーリー展開
難解な展開や、抽象的な場面はほぼないと言っていいくらい、良い意味で単純明快なストーリーになっていました。
落語をモチーフにしたという喜劇的な展開と、復讐というハードな展開が融合した絶妙なバランスでした。
ただ、復讐と50両の件が2段階続くところは、好みが分かれるかも…。
囲碁が題材のひとつになっていますが、細かいルールがわからなくても問題ないと思います。
囲碁を打つシーンは、格之進と源兵衛が親交を深めたり、兵庫に対する復讐として対局するシーンで描かれます。
囲碁自体が詳細に描かれることはなく、白黒つけることでしか生きられない格之進の人間性を表現するものとして、扱われていたと思います。
囲碁が好きな人は、囲碁描写への期待はしない方がいいと思います!
良くも悪くも「碁盤斬り」は、時代劇への入り口となる作品に仕上がっていると思いました。
現代では分かりづらい言い回しも若干ありますが、物語の文脈を捉えていると問題なく理解できる範囲なはずです。
「碁盤斬り」をきっかけに、時代劇を見てみよう!という人もいるかも!
映像や音楽への評価
映像と音楽ともに、アート映画のような尖った仕掛けではなく、多くの観客に楽しんでもらうために作られていると感じました。
音楽だけで泣けるような雰囲気を演出することなく、適材適所に使われているという印象です。
飽くまでエンターテインメント作品!
映像は、今の日本映画では鑑賞できる機会が少ない本格時代劇なので、スクリーンを観ているだけで楽しく感じられると思います。
硬派な映像の質感のイメージがある白石和彌監督でしたが、お絹が遊郭に行くシーンは色彩豊かに演出され、監督の新境地を感じさせました。
そして、兵庫との因縁を描く回想シーンでは、ザラザラしたフィルム調の映像に一気に変わり驚かされました。
「凶悪」や「彼女がその名を知らない鳥たち」など、白石和彌監督の作品では、回想シーンでトリッキーな仕掛けをすることが多く、「碁盤斬り」でも効果的に使われていました。
個人的には、全編フィルム調で観たいくらいカッコよかった!
時代劇としての評価
白石和彌監督は、これまで昭和の時代を舞台にした映画を手掛けてきたことはありましたが、本格的な時代劇は「碁盤斬り」が初めてです。
根強いファンが多い時代劇にチャンレンジすることは、白石和彌監督にとってプレッシャーはあったかと思いますが、誠実に作られた時代劇だと感じました。
髪型や美術、言葉遣いなど、時代劇の型を踏襲した上で、バイオレンスも含んだ白石和彌監督らしい映画に仕上がっていました。
監督は、もう時代劇以外考えられないくらいハマっているとのこと!
そして、「碁盤斬り」の公開から間もなくして、白石和彌監督の次作「十一人の賊軍」も時代劇であることが、発表されました。
「仁義なき戦い」シリーズを手掛けた名脚本家の笠原和夫さんが温めていた企画を、満を持して映画化するというもので、山田孝之さんと仲野太賀さんのW主演だそうです。
70年代の東映ヤクザ映画、本格時代劇など、日本映画の古き良き伝統を受け継いでいる白石和彌監督の新作も楽しみですね!
再鑑賞
終盤に一気に伏線が回収されたりする「どんでん返し」があるわけではないので、何度も細部を確認するために再鑑賞するタイプの映画ではないと思います。
見せ場も多く、笑いどころも泣きどころも、ハードな描写もあるので、1回の鑑賞で十分楽しめる作りだと感じました。
複数回の鑑賞を前提にしていないのは潔い!
もちろん、本格時代劇として設計された映像の美しさや、草彅剛さんの迫力ある演技を何度も繰り返し観る面白さはある作品だと思います。
「碁盤斬り」は難しく考えずとも、しっかり楽しめる映画でした!
【碁盤斬り】映画のキャスト&ネタバレあらすじのまとめ
「碁盤斬り」の見どころや、ネタバレあらすじ、ラストの解釈についてまとめてみました。
草彅剛さんのファン、時代劇のファン、白石和彌監督のファン、どなたが鑑賞しても楽しめる映画だと思います。
まだまだ劇場公開中なので、ぜひ映画館で鑑賞してみてください!