驚異的な大ヒットを記録した「ハリー・ポッター」シリーズの3作目で、原作でも人気があるハリーの親世代のキャラクターが初登場します。
ハリーの両親の死について語られていなかった真実やキャラクターの関係性が明かされ、今後の展開に向けて伏線も散りばめられた作品です。
ダークでシリアスな要素は増えますが、逆転時計(タイムターナー)の魔法アイテムや、魔法動物ヒッポグリフなどわくわくさせるファンタジー要素も盛り沢山で、観客を再び魔法の世界に誘います。
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「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の作品情報
公開日 | 2004年 |
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監督 | アルフォンソ・キュアロン |
原作 | J・K・ローリング |
脚本 | スティーヴ・クローヴス |
キャスト | ダニエル・ラドクリフ ルパート・グリント エマ・ワトソン ほか |
音楽 | ジョン・ウィリアムズ |
上映時間 | 2時間22分 |
配給 | ワーナー・ブラザース |
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のキャスト一覧
役柄 | キャスト | 日本語声優 | 特徴 |
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ハリー・ポッター | ダニエル・ラドクリフ | 小野賢章 | 「生き残った男の子」と呼ばれている。 |
ロン・ウィーズリー | ルパート・グリント | 常盤祐貴 | ハリーの親友で、ウィーズリー家の末男。 |
ハーマイオニー・グレンジャー | エマ・ワトソン | 須藤祐実 | ハリーの親友で、マグルの両親から生まれた。占いの才能はない。 |
シリウス・ブラック | ゲイリー・オールドマン | 辻親八 | アズカバン刑務所に12年間収監されていたが脱獄した。ハリーの両親の旧友。 |
リーマス・ルーピン | デヴィッド・シューリス | 郷田ほづみ | 闇の魔術に対する防衛術を教えるためホグワーツ魔法魔術学校に赴任。ハリーの両親の旧友。 |
セブルス・スネイプ | アラン・リックマン | 土師孝也 | ホグワーツ魔法魔術学校の魔法薬学の先生で、スリザリンの寮監。 |
ピーター・ペティグリュー | ティモシー・スポール | 茶風林 | ハリーの両親の旧友。12年前に死んだとされている。 |
アルバス・ダンブルドア | マイケル・ガンボン | 永井一郎 | ホグワーツ魔法魔術学校の校長で、何でもお見通しの偉大な魔法使い。 |
ミネルバ・マクゴナガル | マギー・スミス | 谷育子 | ホグワーツ魔法魔術学校の変身術の先生で、グリフィンドールの寮監。 |
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のあらすじ
ホグワーツ魔法魔術学校の3年生になったハリーは、アズカバン刑務所を脱獄した凶悪犯シリウス・ブラックに命を狙われているという警告を受けます。
そのうえ、ホグワーツの警備にあたることになったアズカバン刑務所の看守「ディメンター(吸魂鬼)」も、ハリーの学校生活を脅かす存在に。
そんなハリーの助けになってくれたのはホグワーツに赴任してきたリーマス・ルーピン先生でした。
しかし、そのルーピン先生もハリーが知らない秘密を抱えていたのです…!
アズカバンの囚人では、ハリーが両親の死の真相を知ることに…。名付け親と両親の絆にも注目です!
あらすじ”起”:シリウス・ブラック脱獄
夏休みでダーズリー家に帰っていたハリーは、バーノンおじさんの姉・マージが自分の両親の悪口を言ったことに腹を立て、魔法でマージの体を風船のように膨らませてしまいました。
風船のように膨らんだマージおばさんが家を離れて大空へ飛んでいくシーンはシュールです。
怒りにまかせて家を飛び出したハリーの前に、今にも襲いかかってきそうな大きな黒い犬が出現します。
その直後、迷子の魔法使いを助ける「夜の騎士バス」が現れ、ハリーはこのバスに乗って魔法使いが集まるパブ「漏れ鍋」にたどり着きました。
バスの中で、ハリーは闇の帝王ヴォルデモート卿の手下として知られるシリウス・ブラックがアズカバン刑務所を脱獄したことを知ります。
ハリーは、親友ロンの父親アーサー・ウィーズリーから、シリウスに命を狙われていると密かに警告を受けたのでした。
あらすじ”承”:リーマス・ルーピン先生ホグワーツ魔法魔術学校へ就任
人間界で魔法を使ったにもかかわらず、なぜかおとがめなしで拍子抜けするハリー。
人間界で、未成年の魔法使いが魔法を使うことは禁じられています!
ホグワーツ魔法魔術学校の新学期が始まるため、ロンとハーマイオニーとともにホグワーツ特急に乗り込みます。
ところが、ハリーを別次元の危機が待ち受けていました。
車中、アズカバン刑務所の看守で、人の幸せな記憶を吸い取るディメンターに襲われてしまうのです。
幸運にも、”闇の魔術に対する防衛術”を教えるためホグワーツへ赴任してきたリーマス・ルーピン先生が助けてくれました。
ディメンターはシリウスの脱獄を受けてホグワーツの警備にあたっていましたが、クィディッチの試合中にもハリーに襲いかかり、そのせいでハリーの箒が壊れてしまいます。
ルーピン先生はハリーに優しい言葉をかけ、ディメンターから身を守るため、幸せな記憶を思い浮かべて守護霊(パトローナス)を召喚する「エクスペクト・パトローナム」という呪文を教えてくれました。
一方で、ホグワーツの森番だったハグリッドが魔法生物飼育学の先生となり、最初の授業で半鳥半馬の魔法動物ヒッポグリフの「バックビーク」を生徒に紹介します。
バックビークは凛々しさの中にも可愛さあり!誇り高き魔法生物!
ところが、親が有力者であるドラコ・マルフォイが愚かにもバックビークを怒らせて負傷し、バックビークは殺処分されることになってしまいました。
マルフォイ~~~!!ちょっと血が出てしまっただけなのに、必要以上に痛がっているマルフォイ、何とも言えません。
あらすじ”転”:シリウス・ブラックとルーピン先生の正体
無力感に苛まれながらバックビークの殺処分の様子を見守っていたハリーたち。
すると、例の大きな黒い犬が現れ、ホグワーツの敷地内に生えている「暴れ柳」の根元の穴にロンを引きずりこんでしまいます。
ロンを助けるためハリーとハーマイオニーがたどり着いたのは呪われていると噂される「叫びの屋敷」。
大きな黒い犬の正体はシリウス・ブラックでした。
シリウスが両親を裏切ったと信じるハリーは、“親の仇”に杖を向けます。
ところがそこに現れたルーピン先生が、なぜかシリウスを庇ったのです。
ハリーたちはルーピン先生の行動にショックを受けますが、シリウスとルーピン先生から両親の死の真相を聞かされます。
実はハリーの両親を裏切ったのは友人だったピーター・ペティグリューでした。
そして、ロンの腕の中にいた飼いネズミのスキャバーズこそ、ピーターの仮の姿だったのです。
人間の姿に戻ったピーターをシリウスとルーピン先生は殺そうとしますが、ハリーはディメンターに差し出すことを選びました。
ところが、外に出た一向を待っていたのは満月。
狼人間のルーピン先生が人狼になってしまい、その隙にピーターはネズミに変身して逃走します。
人狼になると、制御がきかなくなってしまうんですよね…。誰彼構わず襲ってしまいます。ハリーたちにも牙をむきます。
ハリーたちを人狼のルーピン先生から守ろうとして深い傷を負ったシリウスは、追いかけてきたハリーとともにディメンターに襲われますが、そこに現れた謎の人物が守護霊を呼び出してディメンターを追い払いました。
倒れたシリウスの横で、ハリーは意識を失います。
ハリーの意識が戻った時にはシリウスは脱獄囚として塔に閉じ込められており、魂を吸い取られる「ディメンターのキス」が執行されることになっていました。
ディメンターの姿が気持ちが悪いというか怖いんですよね…。練馬にあるハリーポッタースタジオツアーでは、ホグワーツ特急の車窓の外から、ディメンターに襲われる疑似体験ができますよ!!怖さが分かります。
あらすじ”結”:逆転時計(タイムターナー)で万事解決
ダンブルドア校長のアドバイスからヒントを得て、足に怪我をして動けないロンを医務室に残し、魔法のアイテム「逆転時計」で過去に戻ったハリーとハーマイオニー。
ハーマイオニーが不可能なほど多数の授業に出席できていたのは、この逆転時計のおかげでした。
まずは殺処分されそうだったバックビークを救出し、ディメンターに襲われていたハリー自身とシリウスを助け、塔に囚われたシリウスのもとへ。
ピーターが逃亡したためにシリウスが無実であることは証明できなくなってしまいましたが、シリウスは自由を手に入れ、バックビークに乗って空に飛び立っていくのでした。
ラストシーンで、シリウスから当時世界最速だった箒『ファイアボルト』がハリーに届けられるシーンは、私まで嬉しくなっちゃいます。
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のネタバレ
アズカバンの囚人のネタバレを5つご紹介します。
この記事には「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」のネタバレを含みます。ご注意ください。
シリウス・ブラックの正体
ヴォルデモート卿の手下で、親友だったジェームズとリリー(ハリーの両親)を裏切った悪者と考えられていたシリウス。
実際は、「友達を裏切るくらいなら死んだほうがマシ」だと言い放つくらい、友達想いの人物です。
変身術「動物もどき」で大きな黒い犬に変身でき、その能力を使ってアズカバン刑務所からの脱獄を成功させました。
動物もどきを取得するには、並大抵の忍耐力がないとできないんですよね。取得方法も特殊なので、シリウスは凄い…!
ハリーにとっては両親が選んだ後見人(名付け親ともいう)で、自分が無実だと証明した後、ハリーに一緒に暮らすことを提案します。
ルーピン先生の正体
普段は生徒に人気のある穏やかな先生ですが、実は満月になると凶暴な人狼に姿を変える狼人間であることを隠していました。
動物もどきとは違い、狼人間は人狼になると自分が誰であるかを忘れてしまい、コントロールを失います。
とはいえ、ハリーを何度も助けてくれた優しく頼りになる先生であることに変わりはありません。
保護者の同意署名を得られず魔法使いの村「ホグズミード」に行けなかった時に一緒にいてくれたり、ディメンターから身を守るための呪文を教えてくれたり、スネイプにとがめられた時に助けてくれたり。
優しく渋くてかっこいいのがルーピン先生なのです…!
狼人間であることが知れ渡ってしまいホグワーツの先生を辞めてしまいますが、この結末にがっかりしたのはハリーだけではないはずです。
ハリーの両親を裏切った人物
ハリーの両親を裏切り、ヴォルデモート卿に彼らの居場所を教えたのはシリウスではなく、ピーター・ペティグリューでした。
そしてシリウスに罪を被せ、指1本だけを切り落として自分は死んだように見せかけ、姿をくらませたのです。
その後は動物もどきでネズミに変身し、「スキャバーズ」と名付けられて、ウィーズリー家に12年間飼われていました。
とんでもない胆力…12年間ネズミのまま…
ディメンターから救ってくれた守護霊の正体
人狼になり我を忘れたルーピン先生と格闘し、重傷を負ったシリウスは湖のそばで倒れてしまいました。
そのシリウスと彼を追いかけてきたハリーにディメンターの大群が襲いかかりますが、湖の向こう側に現れた牡鹿の守護霊に追い払われます。
ハリーは最初、自分の父親ジェームズが自分たちを助けにきてくれたと信じていました。
なんとも健気なポッターです。
しかし、逆転時計で過去の“その時”に戻ってみると、ジェームズはなかなかやってきません。
ハリーは待ちきれず、エクスペクト・パトローナムを使って守護霊を呼び出し、ディメンターを追い払います。
そう、父だと思っていた牡鹿の守護霊は父ではなく自分自身だったのです。
シリウスが脱獄できた理由
ディメンターが警備する脱出不可能なアズカバン刑務所からシリウスがなぜ脱獄できたのかについては、映画の中で語られることはありませんでした。
これについては、序盤にちらっと出てきたウィーズリー家のエジプト旅行に関する新聞記事が鍵になっています。
シリウスは動物もどきで大きな黒い犬に変身できるため、目が見えず動物の感情も感じ取れないディメンターを欺いて脱獄することは不可能ではありません。
ただ、幸福な記憶を吸い取るディメンターが囚人の心を絶望感で満たして脱獄する気力を奪っていたため、シリウス自身も変身せず刑務所に閉じ込められたままでした。
アズカバンで新聞を手に入れ、ウィーズリー家の旅行写真を目にしたシリウスは、死んだと思っていたピーターがネズミの姿でロンと一緒に写っているのに気づき衝撃を受けます。
ロンがハリーと同じくホグワーツの生徒であると知ったシリウスは、”ピーターからハリーを守りたい一心”で、再び犬に変身できるようになり、そのおかげで脱獄に成功したのです。
黒い犬の姿のシリウスも可愛いですが、人間のシリウスもイケオジです。
逆転時計(タイムターナー)とは
逆転時計(タイムターナー)は、魔法使いが一時的に過去に戻れる魔法アイテム。
小さな砂時計にチェーンがついていて首にかけられるようになっており、砂時計を回転させた分だけ時間を遡れる仕組みです。
使用上のルールとして、過去に戻っている間は絶対に人に見られてはいけません。
タイムターナーのデザインも素敵なんですよね。ハリーポッター公式グッズ専門店「マホウドコロ」でもレプリカが販売していたり…!気になる方は探してみてくださいね。
また、今回の映画では語られていませんが、時間を戻しすぎることも大きなダメージを受けるために禁止されていて、遡れるのは最大5時間までといわれています。
逆転時計(タイムターナー)が使用されたタイミング
ハーマイオニーはマクゴナガル先生から逆転時計をもらい、同時刻に行われている複数の授業に出席するのに使っていました。
優等生ハーマイオニーの先生からの厚い信頼がうかがえます。
ただ、このせいで疲労が溜まって精神的に不安定になったハーマイオニーが、占いの授業で逆上し、水晶玉を手で払いのけてクラスを出ていくという場面も。
映画の後半、ハリーとハーマイオニーは逆転時計を使って3時間前に戻り、殺処分されようとしていたバックビークを助けます。
このバックビークのおかげで、ハリーとハーマイオニーは人狼になったルーピン先生に危害を加えられずにすみ、塔に閉じ込められたシリウスを空から救出できました。
「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」の感想・評価
ストーリー展開
前半は沢山のエピソードが詰め込まれていて、後半は怒涛の伏線回収が始まります。
大きな黒い犬の正体、ルーピン先生の秘密、ハリーの両親の死をめぐる真相と、驚きの連続。
逆転時計のトリックでラストを締めるまで、観客をまったく飽きさせないストーリー展開に仕上がっています。
キャラクターの魅力
まず驚かされるのは思春期に入ったハリー、ロン、ハーマイオニーの成長ぶり。
ハリーの心の強さやロンの楽天的なあたたかさ、ハーマイオニーの知性と優しさが際立っています。
私服のシーンも多く、個性があらわれ始めた制服の着こなし方にも注目です。
とはいえ、やはり本作の魅力は初登場の親世代。
シリウスもルーピン先生も、旧友であるジェームズとリリーの息子ハリーを大事に思っているのが伝わってきます。
これまでずっとダーズリー家から厄介者扱いされてきたハリーが、こうして自分をあたたかく見守ってくれる存在を得られたことが本作の最大の魅力といえるのではないでしょうか。
映像技術
1〜2作目に比べ、VFX・CGも格段にレベルアップしています。
本作の高度な映像技術がなければ、風船のように膨らみ空に飛んでいくマージおばさんの面白さ、ロンドンの街中を疾走する夜の騎士バスのスリル感、嵐の中で行われるクィディッチの試合の迫力、恐ろしい姿をしたディメンターの不気味さはこんなにも心に残らなかったでしょう。
上半身が大鷲で下半身が馬であるバックビークの仕上がりも見事です。
再鑑賞
原作の要素をできるかぎり盛り込んでいるためテンポが早く、「ついていけなかった!」という人もいるはずです。
だからこそ、再鑑賞を強くおすすめします。
何度観ても新たな発見があり、毎回間違いなく楽しめる作品だと思います。
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まとめ|「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」は画面こそ暗いが最高!
やはり一番心に残るのは、シリウスがハリーを引き取って一緒に暮らす案を持ちかけたシーン!
そして、ピーターの逃亡によりそれが叶わなくなったシリウスが、お別れの前にハリーに優しく語りかけるシーンも感動的です。
後半の画面は暗くて観づらいという意見も多いですが(そして実際その通りなのですが)、これらのシーンの良さはやはりこの暗さがあってこそ。
また、ハリーがルーピン先生と一緒にいる時には明るい日中のシーンが多いのも、対照的で面白いと思いました。
伏線が散りばめられ、個性的なキャラクターや映像美で観客を魅了する本作は、ファンタジー好きが十分に楽しめる内容になっていると思います。