フェラーリの創業者である、エンツォ・フェラーリを主人公にした伝記映画が7月5日に公開されました。
主演は、「スター・ウォーズ」シリーズなどで知られる、アダム・ドライバーが務めており、クオリティに大きな期待が寄せられています。
この記事では「フェラーリ」のあらすじや、印象に残ったキャストとシーンをまとめているので、ぜひご覧ください。
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この記事には映画の結末や重要なネタバレを含む可能性があります。未鑑賞の方はご注意ください。
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公開日 | 2024年7月5日 |
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監督 | マイケル・マン |
原作 | ブロック・イエーツ「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」 |
脚本 | マイケル・マン トロイ・ケネディ・マーティン |
キャスト | エンツォ・フェラーリ:アダム・ドライバー ラウラ・フェラーリ:ペネロペ・クルス リナ・ラルディ:シェイリーン・ウッドリー アルフォンソ・デ・ポルターゴ:ガブリエル・レオーネ |
音楽 | ダニエル・ペンバートン |
上映時間 | 132分 |
配給 | キノフィルムズ |
公式サイト | 「フェラーリ」公式サイト |
上映劇場 | 「フェラーリ」上映劇場 |
【フェラーリ】映画のネタバレあらすじ(ラスト・結末まで)
「フェラーリ」のあらすじを起承転結にまとめて紹介します。
史実に基づいた作品なので、ネタバレ厳禁というタイプの作風ではありませんが、鑑賞前に参考にしてみてもいいかもしれません。
起:フェラーリ社の状況
1947年に有力なレーサーとして人気を博していたエンツォ・フェラーリは、妻のラウラと共同経営という形で、フェラーリ社を創業しました。
圧倒的なスピードと美しいフォルムを誇るフェラーリでしたが、レースへの莫大な投資によって経営不振に陥っています。
1956年には、息子のディーノを病気の末に亡くしてしまい、エンツォとラウラの夫婦関係は危うくなっていました。
そんな中エンツォは、妻のラウラと、愛人のリナと息子のピエロの家を行き来する二重生活を送っています。
リナとピエロに束の間の幸福を見出すエンツォでしたが、ディーノの墓参りに行くと号泣してしまうほど、深い傷を負っていたのでした。
承:チーム結成
当時のカトリックは離婚の制度がないため、エンツォは、ラウラと別れることもなく、ピエロを自身の息子として認知することもしません。
リナは、自分が置かれた境遇に、頭を悩ませていました。
一方、フェラーリ社は経営不振のため、資金が豊富な会社から買収を持ち掛けられます。
プライドが許さないエンツォは、イタリア全土を横断する「ミッレミリア」というレースに出場し、名誉回復を狙います。
更なるレーシングカーの開発と、レーサーの育成に熱が入りますが、練習中に不慮の事故で貴重なレーサーを亡くしてしまうのでした。
転:ラウラに知れ渡る秘密
事故で亡くなったレーサーに変わり、アルフォンソ・デ・ポルターゴが加入し、チームに活気がついてきました。
一方、ラウラは銀行でのやり取りに違和感を持ったことがきっかけで、エンツォに愛人がいることを知りショックを受けます。
エンツォは夫婦での経営に限界を感じ、ラウラに持ち株を渡すよう相談しますが、経営不振に加えて愛人の秘密が明らかになったことで余計に関係が拗れてしまうのでした。
そして、ミッレミリアの当日を迎えて、フェラーリ社のチームは快調にレースを進めますが、ポルターゴの車が11人の死者を出してしまう、大事故を起こしてしまいました。
フェラーリ社から優勝者を輩出するも、エンツォは、事故の責任を追及されるのでした。
結:エンツォの決断
フェラーリ社の今後の判断を迫られるエンツォを見て、ラウラは、「経営が安定するまで、現金化しない」と約束していた小切手を現金にして、エンツォに渡しました。
ラウラは「資金はバッシングする記者を手懐けるためのもの」「私が死ぬまでピエロを認知しないで欲しい」とエンツォに懇願します。
結果的にエンツォは責任を逃れた上でラウラの死後にピエロを認知し、レーサーとして育成することを決断しました。
後年、ピエロはレーサーとして歴史に名を残し、エンツォはモータースポーツ界のレジェンドとして、亡くなった今も尊敬を集めているのでした。
【フェラーリ】映画のネタバレ解説
- 「フェラーリ」映画のラスト・結末の解説
- 「フェラーリ」映画の主人公エンツォ・フェラーリとは
- 【実話】大事故を起こした1957年の”ミッレミリア”とは
- マイケル・マン監督総指揮「フォードvsフェラーリ」との違いは?
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「フェラーリ」のネタバレ解説をまとめています。
史実をもとにした作品であるので、エンツォ・フェラーリのことや、ミッレミリアのことも簡単にご紹介します。
「フェラーリ」映画のラスト・結末の解説
ミッレリアの大事故によって責任を問われたエンツォは、経営不振に陥っていたこともあり、さらなる窮地に追いやられます。
ところが、妻のラウラが「会社が安定するまでは現金化しない」と約束していた、小切手を現金化しました。
憤るエンツォに対し、ラウラは、現金で記者を手懐けて責任を逃れたらいいと進言します。
そして、ラウラはリナとの子供を認知しないで欲しいともお願いしました。
結果的に、エンツォはミッレミリアの事故の責任をとることはなく済み、ラウラの死後、リナの息子であるピエロを認知します。
人によっては抵抗を抱きそうなラスト…。
伝記映画といえど、エンツォを偉大な人物としてだけでなく、息子を亡くし心に傷を負う父親、妻がいるにも限らず愛人と二重生活を送る男性を描いたことに、「フェラーリ」の画期性があると思いました。
肯定しづらい人間であることを、あるがまま描くラストは個人的には好みでした。
「フェラーリ」映画の主人公エンツォ・フェラーリとは
エンツォ・フェラーリはイタリアの自動車メーカーであるフェラーリの創業者で、レーシングドライバーとしても活躍し、モータースポーツ界の偉人として広く知られています。
1927年にドライバー仲間たちと「スクーデリア・フェラーリ」を結成し、レースの活動をしていましたが、自身の体調が優れず1932年に、息子のディーノが生まれて以降は、第一線を退きました。
そして、1947年にレーシングマシンを開発し、「フェラーリ」を創業します。
オープニングでは、ここまでが描かれていました!
「フェラーリ」は世界中で販売され、あらゆる富豪の愛用ブランドとして重宝されるようになります。
しかし、レースへの過度な投資によって会社としては経営危機に陥っていました。
このあたりが、映画で描かれる前提知識です!
また、映画「フェラーリ」の原作は、「エンツォ・フェラーリ 跳ね馬の肖像」で、エンツォ・フェラーリの生涯を綴った伝記本です。
レースへの情熱やメディアとの関係、レース事故により多くの犠牲者を出したことなど、功罪ともに記されています。
エンツォ・フェラーリへの理解を深めたければ、映画→原作と触れるのがいいかも!
【実話】大事故を起こした1957年の”ミッレミリア”とは
ミッレミリアは、イタリアの公道で開催されていた自動車レースで、劇中でも描かれた事故以降は開催が中止されてしまいました。
イタリア北部のブレリアから、南下してローマを経由して、ブレリアに戻るというコースで、イタリア全土を計1000マイル走ることから、ミッレミリア(イタリア語で1000)と名付けられました。
今では考えられないスケール…。
映画「フェラーリ」では、1957年のミッレミリアが登場し、経営危機に陥っていたフェラーリの社運をかけ、レースに挑む様子が描かれます。
結果的にフェラーリから優勝者が出ましたが、運転していたデ・ポルターゴをはじめ11人の死者を出す大事故が起きてしまいました。
ゾッとするショッキングなシーンでした…。
マイケル・マン監督総指揮「フォードvsフェラーリ」との違いは?
「フェラーリ」を監督したのは、「ヒート」や「コラテラル」で知られるマイケル・マンです。
過去には、似たような題材の「フォードvsフェラーリ」の製作総指揮を務めていました。
こちらは、フォード視点の映画です。
「フェラーリ」では、エンツォ・フェラーリの人生と夫婦の愛憎が描かれていましたが、「フォードvsフェラーリ」は、硬派なレーサーと経営陣の対立というビジネスの側面が描かれていたという印象です。
「フォードvsフェラーリ」の方が男臭い雰囲気です!
どちらも違った良さがある映画ですが、レースシーンの迫力と音楽のカッコよさを踏まえると、「フォードvsフェラーリ」の方が個人的には好みでした。
「フェラーリ」は、渋くてドライな人間ドラマにレースがついてくる、「フォードvsフェラーリ」は、仕事ドラマに迫力あるレースと男同士の友情が描かれるという感覚です。
見比べてみるのも面白いと思います!
【フェラーリ】映画で印象に残ったキャスト3選(ネタバレあり)
「フェラーリ」で、印象に残ったキャストと役どころを紹介します。
エンツォ・フェラーリの人生を描いた映画でありながら、名優の共演も見どころのひとつです。
①エンツォ・フェラーリ/アダム・ドライバー
「フェラーリ」で主演を務めたのは、「スター・ウォーズ」シリーズや「マリッジ・ストーリー」などで知られるアダム・ドライバーです。
スティーブン・スピルバーグ、マーティン・スコセッシ、ジム・ジャームッシュなど、数々の巨匠の作品に出演している、今最も人気と実力を兼ね備えた俳優と言われています。
「ゴッドファーザー」のフランシス・フォード・コッポラの最新作にも主演が決まっています!
大柄な体格や、目鼻立ちがはっきりした特徴的な顔立ちに加えて、繊細な役柄を演じられる確かな演技力を兼ね備えており、巨匠からのオファーが途切れません。
2015年の「スター・ウォーズ /フォースの覚醒」で、カイロ・レン役に抜擢され、人気を博し、2019年には「マリッジ・ストーリー」で、アカデミー賞の主演男優賞にノミネートされました。
「マリッジ・ストーリー」の演技は最高です!
今作では、フェラーリの創業者である、エンツォ・フェラーリを務めました。
レースにかける情熱と知性を持ちながらプライベートでは妻と愛人の二重生活を送る、一筋縄ではいかない人物を淡々と演じています。
ほとんどのシーンで、アダム・ドライバーが画面に映っており、スター俳優らしい華やかさと演技力によって、映画のクオリティが格段に上がりました。
さすがアダム・ドライバー!
②ラウラ・フェラーリ/ペネロペ・クルス
エンツォ・フェラーリの妻である、ラウラを演じるのは、ペネロペ・クルスです。
「オール・アバウト・マイ・マザー」で、大ブレイクを果たし、2008年の「それでも恋するバルセロナ」でアカデミー賞の助演女優賞を受賞した、スペインの名優です。
スペイン語、英語だけでなく、フランス語やイタリア語も話すことができ、国際的に活躍しています。
コンスタントに良作に出演しています!
「フェラーリ」で演じたラウラは、エンツォの妻で1年前に息子を亡くした悲しみから、夫との関係が上手くいかなくなったという役どころです。
納得いかないことには徹底的に追及する性格で、時に銃弾を放つほど奔放な一面もあります。
映画本編ではイタリア語を話すシーンもあり、ペネロペ・クルス以外には考えられないハマり役でした。
ペネロペ・クルスが出てくると画面が引き締まります。
③リナ・ラルディ/シェイリーン・ウッドリー
エンツォの愛人であるリナ・ラルディを演じたのは、シェイリーン・ウッドリーです。
1999年にデビューし、2000年代はテレビドラマシリーズをメインに出演し、2011年の「ファミリーツリー」でナショナル・ボード・オブ・レビューの助演女優賞を受賞した、実力派女優です。
社会派サスペンスから、青春ラブストーリーまで幅広い!
「フェラーリ」で演じるリナは、エンツォの愛人でありながら息子を認知されないことを悩んでいるという役どころです。
リナの境遇の声にならない痛みを、繊細な演技で表現していました。
【フェラーリ】映画で印象に残ったシーン・場面3選(ネタバレあり)
「フェラーリ」の中でも、特に印象に残ったシーンを、ピックアップしています。
鑑賞後に、該当のシーンを思い出してくれたら嬉しいです!
①大胆で快活な妻、ラウラ
「フェラーリ」は、エンツォ・フェラーリの人生を描いた作品ですが、ペネロペ・クルスが演じる妻のラウラの振る舞いも大きな見どころになっています。
ラウラは、納得いかないことに対して積極的に行動していく性格で、早朝に自宅に帰ったエンツォに向かって銃弾を放つほどの奔放さです。
あまりに、突拍子もなくて笑いました。
エンツォは、夫婦関係が上手くいかず、奔放なラウラに手を焼いている様子ですが、主体的に動いていく強い女性像を体現していたと思います。
エンツォから秘密にされていた愛人の関係を察した時も、すぐに状況を調べ始める様が、クールな作風の中に快活なアクセントを加えていました。
事故で傷心しているエンツォを力強く励ましたり、複雑な夫婦の関係性を描く上で欠かせない存在でした。
ペネロペ・クルスの存在感!
②ディーノの死
冷淡な性格のエンツォが深い後悔を感じているのが、息子であるディーノの死でした。
ディーノの死以降ラウラとの関係も上手くいかなくなり、フェラーリの経営も危機的な状況になりました。
個人的に、エンツォが一人でディーノの墓参りに行き号泣するシーンには驚かされました。
レースに対して静かな情熱を抱いているエンツォの姿からは、涙なんて想像もつかないからです。
時間差で墓参りにくるラウラの姿も切ない…。
ディーノの墓は洞窟のような形状で、決して人前では見せないエンツォの傷を象徴しているように感じました。
息子を亡くした傷を、愛人であるリナとリナとの息子であるピエロとの生活によって癒しています。
決して褒められた人物ではない、エンツォの心の底にあるディーノの死という傷が、「フェラーリ」を単なる伝記映画以上の深みをもたらしました。
唯一感情を表に出すシーンだったかも…。
③”ミッレミリア”の大事故
買収の話を持ち掛けられるほどの経営危機にあるフェラーリは、盤石の布陣を組んで、イタリア全土を走る”ミッレミリア”に挑みます。
レーサー達に、「ブレーキは忘れろ」と発破をかけますが、ジャン・ベーラとスターリング・モスは、事故によってリタイアしてしまいます。
エンツォが特に目をかけていたポルターゴに期待が集まりますが、道に落ちていた石を踏んだことで、死者11人の大事故が起きてしまいました。
史実を知らなかったので、本当に驚きました。
とてもショッキングな出来事ですが、「フェラーリ」では呆気なく事故の顛末が描かれます。
危険なレースの中の一瞬の出来事であると同時に、冷徹に気持ちを切り替えていくエンツォの人柄を表したようなシーンに感じました。
序盤のトレーニング中の事故も呆気なかった。
【フェラーリ】映画を実際に鑑賞した感想と評価(ネタバレあり)
「フェラーリ」を実際に鑑賞した感想を、項目ごとにまとめました。
ドライな作風なので好みが分かれるかもしれませんが、自分なりの感想をご紹介します!
ストーリー展開
現実の出来事を元にしているので、難しい展開はほとんどありませんでした。
リナとの出会いも回想シーンで描かれていたり、作品全体はクールな雰囲気ですが親切な設計だったと思います。
オペラのシーンは、わりとぶっ飛んでいたけど(笑)
ただ伝記映画の性質上、どうしても固有名詞が多く出てくるので、話の筋を追うのが難しく感じる方はいても仕方ないと思います。
エンツォ・フェラーリのこととミッレミリアのことを簡単に予習しておけば、混乱することはなさそうです。
結末への評価
「フェラーリ」の結末は、ミッレミリアの事故の責任を追及されたエンツォが、ラウラの助言によって記者を手懐けて失脚を逃れ、リナの息子を認知するというものでした。
あまり肯定できる行動ではないかも…。
「フェラーリ」では、エンツォの人間性について肯定とも否定とも明確にせず淡々と描くスタイルなので、モヤモヤする人も多いと思います。
ただ、エンツォのレースに生きているという生き様を描いたものとしては、筋が通った結末だったと感じました。
アンモラルな人間を作り手の解釈を交えず淡々と描いてみせたことで、「フェラーリ」の独特なクールな質感を作りあげています。
個人的にはエンツォを持ち上げるだけの映画になっていないので、これはこれで好感が持てると思いました。
主人公から距離を置いた着地がカッコよく見えます。
映像の迫力
フェラーリの真っ赤な車体も相まって、特にレースシーンはカッコよく演出されていたと思います。
やはり、クライマックスにあたるミッレミリアのシーンは、スピーディーに駆け抜けるフェラーリと走行音の轟音によって、グイグイ引き込まれました。
危険な道のりもあって、緊張感が高まります。
「フェラーリ」では意外と人間ドラマの要素も多いのですが、レースシーン以外でも、人物から距離をとった映像がカッコよく感じました。
ただ、事故のシーンについては明らかなCGとわかる質感で呆気なく描かれるので、人によっては「なんだこれ」と思うこともあるかもしれません。
個人的には、エンツォにとっては、レースの代償で致し方ないことくらいに捉えている、という表現だと解釈しました。
再鑑賞
複雑な伏線が張られていたりするタイプの作品ではないので、何度も鑑賞したいと思う方は少ないかもしれません。
ただ、50年代後半のフェラーリの車体がレトロチックでカッコよく、車好きの方は、何度も鑑賞して目に焼き付けたいと感じるだろうと思いました。
レースシーンの迫力は否応なく興奮させられ、アダム・ドライバーやペネロペ・クルスらの豪華俳優陣の共演もあるので、複数鑑賞する価値はある作品です。
好みは別れるかもしれませんが、いい映画でした!
【フェラーリ】映画のネタバレあらすじのまとめ
「フェラーリ」のネタバレや感想、見どころについてまとめました。
重厚な伝記映画が少なくなっていることもあり、クオリティもさることながら「フェラーリ」は、貴重な作品だと思いました。
類似作品である「フェードvsフェラーリ」を見比べてみるのも面白いかもしれません。
レースシーンは迫力満点なので、ぜひ映画館でご鑑賞ください!